バヴァロワとバヴァロワーズ。bavarois(男性名詞)にeが付いただけなので混同しますが、バヴァロワーズは紅茶、シロップ、牛乳、その他を混ぜ合わせた液体状の飲み物です。
 18世紀の初め、ドイツ南西のバヴァリア(バイエルン)王国の貴公子たちがパリに住んでいて、彼らはサン・ジェルマン・デ・プレ界隈のカフェ・プロコープに出入りしていました。彼らは紅茶をクリスタル製の瓶に入れ、砂糖の代わりにはこねそう(Capillaire)のシロップを入れるのを好みました。この新しい香りの紅茶を、バヴァリア人(風)の飲み物、la boisson bavaroise(形容詞 bavarois の女性形 bavaroise が付いた)とかla bavaroiseと呼びました。バヴァロワーズは、当時流行の飲み物で、牛乳やリキュール類を加えたり、チョコレート風味のもありました。はこねそうのシロップはコーヒーに入れたりもしました。
 la bavaroiseは今ではすっかり廃れ、肺炎や気管支炎に効く飲み物とみなされているようです。
 バヴァロワとバヴァロワーズは全く別のものなのですが、時として明確に区別しないで用いられています。たとえばミッシェル・フサール氏は
BAVAROIS AUX PÊCHESで〈アングレーズ・プール・バヴァロワーズを九分目まで入れる〉と言っています。お菓子の名前はバヴァロワでも生地の状態ではバヴァロワーズなのか、そのへんは定かではありません。

(参考文献:「ラルース料理百科事典」三洋出版貿易株式会社/フランス語の散歩道4(ガトー1981年7月号)樫山文男)

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